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映画レビュー - 麻布学園の会報に書きました

麻布学園の会報に書きました

カテゴリ : 
Sample
執筆 : 
宿輪ゼミ 2016-5-1 8:28


依頼があって書きました。今回のテーマは「光」で、中学生・高校生の学生さんや、親御さんのためになることを書いてくれ、また自分の過去の成功体験というか、経験が望ましいとのことでした。そのため、少し自慢のように読めたら、ご容赦ください。若い人への励ましのつもりです。私にはコネもなにもありませんでした。
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もがく中での“一筋の光”
―実は“暗闇”こそ“光”

帝京大学経済学部教授・慶應義塾大学経済学部非常勤講師・経済学博士・映画評論家
宿輪純一
 “光”とは人間に“明るさ”を感じさせるもの。暗闇の中に“一筋の光”が差し込むことということは、“将来への希望”が見えるときのことでしょうか。私の人生では“一筋の光”が見えたと感じたことが2回ありました。
 私は現在52歳です。麻布高校を昭和57年(1982年)に卒業し、一浪して、慶應義塾大学経済学部に進学しました。昭和62年(1987年)に卒業し、富士銀行に就職しました。その後、日本では都銀間の転職は前例がありませんでしたが、三和銀行に転職しました。合併が繰り返えされ、最終的に三菱東京UFJ銀行に勤務し、合計27年の銀行勤務の後、今年、定年で退職しました。しかし、私は麻布のOBらしく、いわゆる銀行員らしくない、一般の社会人とも違う、様々な希望(目標)を持った生き方をしてきたと思います。
 私は人生の希望として2つの目標を持ちました。1つ目は、経済学が好きだったので「経済学博士号を拝受して大学で経済学の教鞭を持つ」こと、2つ目は、映画が大好きだったので「プロの映画評論家になる」ことでした。その2つの目標は、銀行員では前例がほとんどないものでした。私は会社でもそうでしたが、前例がないからダメというのが大嫌いでした。経済学における価値の基本は、希少性でもあるわけで、逆に価値が高いのです。この2つの目標も、前例がほとんどないだけに余計にやる気になりました。
 しかし、銀行での仕事(生活)は大変厳しいものでした。私は海外赴任も長く、市場業務(ディーラー・トレーダー)、経済金融調査、そして経営企画等で極めて多忙でした。文句を言っても仕方なく、帰宅後の深夜や、週末に勉強を続けました。私の能力はあまり高くないことは分かっていたので、人よりも成果を上げるためには、人よりも努力するしかありませんでした。成果というものは、能力と努力の掛け算(面積)だと考えています。
 1つ目の“経済学”の方では、どうすれば良いのか分からなかったのですが、とにかく日々働きながら、経済学の研究を続け、論文を多数書き大学に送る他、論文コンクールにも応募しました。国内・海外の経済学会で学会発表を続け、日経新聞社と東洋経済新報社から経済・金融関係の書籍を出版(現在は15冊)しました。その間、いくつもの政府当局の委員会にも招聘され活動もしてきました。その後、博士号の審査の段階に進み、論文審査の後、厳しい5回の諮問(公開審査)の末、学位授与が決定され、経済学博士を拝受することになりました。それは2011年のことでした。経済学博士の計画を立ててから15年かかりました。
 現在、働きながら、文系の経済学博士号を拝受する人は極めて少ないのです。この経済学博士を拝受した時に“一筋の光”を感じました。その後、今年、帝京大学経済学部経済学科の教授に正式に就任し、慶應義塾大学経済学部の非常勤講師もしています。特に慶應義塾大学経済学部では国際金融論を教えていますが、これは経済学部の科目の中では重要な「基本科目」という分類で、基本科目を外部の人間が教えるのは、慶應の歴史では初めてという抜擢でした。
 実は、経済学博士を拝受する前から大学(大学院)で教えていました。東京大学大学院(3年)、(中国)清華大学(1年)、上智大学(1年)、早稲田大学(5年)でした。ちなみに麻布のOBを教えることもありますが、それは少し嬉しく思います。現在、ウエブの「ダイヤモンド・オンライン」に経済・金融の連載を持っています。また、私は最初に教えた大学院の生徒の方々からの強い依頼で、ボランティア公開講義「宿輪ゼミ」というものを東大近くの文京区の公民館で開催しています。生徒さんたちが自分も勉強を続けたいということで、運営もやってくれています。2006年4月から開催し、来年の4月で開催して10年と200回となり、現在(ネット会員も含めてですが)会員数は1万人を突破しております。これも大学講義のお蔭と感謝しております。
 2つ目の“映画”の方はさらに大変でした。映画評論家という仕事は、資格(試験)が無いのです。ということは、宣言すればすぐに映画評論家になれます。そういった意味で、映画評論家は日本に数千人いるとも言われています。現在では「一流の雑誌等で連載を持っている」ことがプロの映画評論家の基準です。
 こちらの分野も、よく分からず、私にはコネもなく、実績を積むしかありませんでした。映画評論を何年も何年もとにかく多数書きましたが“全く”認められませんでした。そこで悩みながら、いろいろと考えました。私は企業戦略も専門分野の一つで教えていましたが、(少し話が大きいですが)シュンペーターの“イノベーション”を思い出しました。一般の方はイノベーションというと“発明”のようなイメージを持っていることが多いですが、実際は“新結合”ということで、異分野の結合で新しい価値を生み出すことです。そこで、私の専門分野でもある経済学と結合させる「シネマ経済学」という分野を思いついたのです。経済学の視点で映画を解説するのです。一本目の原稿「ローマの休日とユーロの謎」を書いたときに“一筋の光”を感じました。その後、2002年から女性誌で連載を開始し、日経ビジネスや東洋経済といった経済系ウエブ、そして朝日新聞にも連載してきました。現在もウエブの「ハフィントンポスト」に連載を持っています。単発ですがテレビで解説等もしています。「ローマの休日とユーロの謎」はその後、東洋経済新報社からの依頼で他の原稿と合わせ、出版しました。現在、プロ用の試写会にも招待され、海外の俳優にも直接インタビューできるようになりました。麻布に通っているときに名画座に通っていた映画少年のころから考えると、夢の様です。
 この2つの一筋の光は、良く分からない、何の拠り所もない混沌とした暗闇の中で、長年“もがいた”末に差してきたものでした。エジソンの言葉として知られている「天才は1%のひらめきと99%の努力」の気持ちも少し分かります。私は「要領よくやろう」とする最近の風潮をやや残念に思います。経済学ではもちろん無駄なく効率的に行うことを評価します。しかし、要領よくやろうという人ほど、希望(難しい目標)は持ちにくくなっているのではないでしょうか。要領よく行うためには前例というか、情報が必要で、それで判断します。つまり、前例がなかったり、情報が少ないものは回避する傾向があります。
 しかし、人生そのもの、希望や将来というものは分からないことだらけではないでしょうか。つまり、損とか徳とか、失敗とかを超える“前向き(ポジティブ)な気持ち”を持つことが、前例のないような目標を達成するためにはまず必要だと思うし、こういうことを継続することで生き方全体も前向きになるのではないでしょうか。
 さらに、本当は目標を達成するプロセスこそが大事ではないかと考えています。ゲーテの「ファウスト」でもないですが、物事をする時の本当の“幸せ”というのは、その目標の達成する瞬間にあるのではなくて、前向きな気持ちを持って頑張っている時にこそあるのではないかと考えます。つまり、逆説的ですが、そのもがいている“暗闇”そのものこそが、すでに“光の始まり”なのではないかと考えています。暗闇でもがくことを回避する人には、“本当の光”も絶対ありませんし。
 私に少し光を差してくれた、経済学の神様と映画の神様に感謝しています。

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